はじめに

家を購入しようと思ったことはありますか?

住宅購入は人生の中でも最大級の買い物です。安くても数千万円します。

当然一括で買える人はほとんどいません。

そこで、その費用の大半をカバーするのが「住宅ローン」です。

その住宅ローンの返済額を大きく左右するのが「金利」です。

しかし、「固定金利と変動金利って何が違うの?」「金利の決まり方って?」「今、借りるならどの金利タイプがいいの?」といった疑問を持つ人も多いはず。

本記事では、住宅ローンにおける金利の基本から、金利タイプの選び方、金利動向の最新情報、さらには住宅ローンで損しないための戦略まで、徹底的に解説します。

第1章:住宅ローンとは何か?

住宅ローンは、住宅の購入や建築、リフォームなどの目的で金融機関から借り入れる長期のローンです。

日本では、35年程度の長期ローンが主流です。

住宅ローンにはさまざまな種類がありますが大きく3つに分けられます。

主な住宅ローンの種類

■ 民間金融機関のローン

  • 内容:銀行、信用金庫、ネット銀行などが提供する一般的な住宅ローン。
  • メリット:金利競争が激しいため、条件によっては非常に低金利で借りられる。サービスの多様性、審査が早いケースも。
  • デメリット:審査が厳しい場合がある。金利が変動型中心で、将来の金利上昇リスクを抱えることも。

■ フラット35

  • 内容:住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して提供する全期間固定金利型ローン。
  • メリット:返済終了まで金利が一定なので、計画的に返済できる。将来の金利上昇リスクを回避できる。
  • デメリット:変動型に比べて初期の金利がやや高め。取り扱いに一定の条件がある(住宅の技術基準など)。

■ 自治体や公的支援のローン

  • 内容:自治体などが提供する、子育て世帯や移住者向けの優遇制度付きローン。
  • メリット:金利優遇や補助金付きの制度があることも。条件に当てはまれば非常に有利。
  • デメリット:対象が限定的。申請手続きが煩雑な場合や、予算枠による先着制などがある。

第2章:金利とは?住宅ローンにおける影響力

金利とは、お金を借りる際の「借り賃」です。住宅ローンでは、借りた元本に対して一定の割合で支払う利息が、返済総額に大きく影響します。

簡単に言うと100円借りたら、110円にして返す。みたいな感じ。
借りた金額に少し上乗せして返します。

お金もタダでは借りれないよってことですね。

金利にはいくつか種類があります。

金利の種類

  • 固定金利:借入時に決まった金利が、完済まで変わらない。
  • 変動金利:半年ごとに金利が見直される可能性がある。市中金利の変動に影響。
  • 固定期間選択型金利:3年、5年、10年など一定期間は固定。その後は変動か再固定を選べる。

返済額への影響

金利の違いは、最終的な返済総額に大きな差を生み出します。

■ 固定金利の場合

たとえば3,000万円を年利1.5%の固定金利で35年間借りた場合、総返済額は約3,870万円(利息870万円)となります。

固定金利の利点は、返済額が最初から最後まで変わらないため、家計管理がしやすい点にあります。

金利上昇の影響を受けず、ライフプランを立てやすいことが特徴です。

ただし、変動金利より初期の金利が高いため、返済開始直後の負担はやや大きくなります。そのため、将来にわたって安定した収入が見込める家庭や、長期返済を前提としている人に向いています。

■ 変動金利の場合

同じく3,000万円を年利0.5%の変動金利で借りた場合、初期の総返済額は約3,450万円(利息450万円)となり、固定金利よりも約420万円安くなります。ただしこれは「金利が変わらない」前提での試算です。

実際には半年ごとに金利が見直され、5年ごとに返済額が変更されることが多いため、将来的に金利が1.5%や2.0%に上昇した場合、返済額もそれに応じて大幅に増加します。

たとえば金利が2.0%まで上昇した場合、総返済額は3,960万円を超えることもあり、固定金利よりも高くなるリスクもあります。

変動金利は、短期間で完済を目指す人や、金利の変動に柔軟に対応できる収入のある人向けです。長期で利用する場合は、将来の金利上昇リスクをしっかりと見据えた資金計画が必要です。

第3章:金利の決まり方と今後の見通し

では金利はどのようにして決まるのでしょうか?

住宅ローン金利は、主に日本銀行の政策金利や市場金利(短期プライムレート、長期国債利回りなど)をもとに決定されます。

変動金利の基準

  • 一般に短期プライムレート(銀行が優良企業に貸し出す短期金利)がベース。
  • 日銀の政策金利に連動。

固定金利の基準

  • 長期国債(10年もの国債)の利回りがベース。

金利の今後は?

2025年現在、日銀は長期の超低金利政策を段階的に見直しつつあります。物価上昇と賃金の上昇が続くなか、金利の緩やかな上昇トレンドが見られます。

2024年3月、日銀は17年ぶりにマイナス金利政策を解除しました。

マイナス金利政策とは?
マイナス金利政策とは、中央銀行が民間銀行から預かる資金の一部に対して「預けると手数料(利息)」を課す政策です。

これを受けてメガバンク各行も変動金利の引き上げを行いました。

具体的には、みずほ銀行が0.525%、三菱UFJ銀行が0.595%、りそな銀行は0.640%と、それぞれ先月より引き上げられました。また、三井住友信託銀行は0.730%、三井住友銀行は0.925%に引き上げています。

変動金利の引き上げは今後も続く可能性があるため、ローン選択の際には金利の上昇余地を念頭に置く必要があります。

第4章:固定金利 vs 変動金利 どちらを選ぶべきか?

では固定金利と変動金利どちらを選ぶべきなのでしょうか?

結論から言うと、今後金利が上がると思うのなら固定金利。下がると思うのなら変動金利がいいでしょう。

固定金利と変動金利のメリットデメリットを以下にまとめます。

メリットとデメリット

金利タイプ メリット デメリット
固定金利 返済額が安定/計画が立てやすい 変動より初期金利が高い
変動金利 初期金利が低い/短期で返すなら有利 金利上昇リスクあり/返済額が変動

選び方の目安

  • 安定志向で長期返済予定 → 固定金利
  • 短期で返済・リスク許容度あり → 変動金利
  • 将来の金利上昇が気になるが変動も捨てがたい → 固定期間選択型

第5章:住宅ローンの金利を下げる方法

金利はできるだけ少ない方がいいに決まっています。とはいえ、借りないで一括で支払うのも大変。

そこで金利を下げる方法を紹介します。

1. 頭金を増やす

借入額が減れば、利息も当然少なくなります。理想は2割以上の頭金。

2. 借入期間を短くする

同じ金利でも、返済期間が短ければ総利息は少なくなります。

3. 借り換えを検討する

現在の金利よりも有利な条件があれば、借り換えによって総支払額を数百万円削減することも可能。

4. 団体信用生命保険の選び方も影響

保険料込みか別払いかで総コストが変わります。

 

第6章:失敗しないための注意点

住宅ローンは呼び方を変えているだけで、事実上の借金です。

そこで借金地獄にならないための注意点をまとめました。

無理な返済計画を立てない

  • 「借りられる額」ではなく「返せる額」で判断する
  • 月収の25〜30%以内が目安

ボーナス返済に頼りすぎない

  • ボーナスカットや不景気に備え、ボーナス返済の比率は低めに

金利上昇時のシミュレーションをしておく

  • 変動金利を選ぶなら、将来2〜3%上がった場合のシミュレーションは必須

第7章:住宅ローンと金利の今後の動向

金利は今後どうなっていくのでしょうか。ある程度の予測は立てられるのでまとめてみました。

金融政策の変化

  • インフレ圧力や日銀の利上げが進めば、変動金利も上昇する可能性
  • 固定金利はすでにじわじわと上昇傾向にあり

グローバル経済の影響

  • 米国の金利政策や世界的な景気減速も、日本の金利に影響を与える

今後のポイント

  • 今後の住宅ローン戦略を考えるうえで「金利上昇は避けられないもの」として捉え、固定金利の選択も視野に入れるべきタイミング
  • 特に変動金利はこれまでの低水準からの反動で大きく変動する可能性があるため、金利が上昇しても家計が耐えられるかどうかの検証が重要です

第8章:住宅ローンの実践テクニック

実際に住宅ローンを組むときは必ず以下の点を抑えるようにしましょう。

数パーセントの違いがのちに数百万円の差を生むことになります。

1. 複数の金融機関を比較する

金利だけでなく、手数料や審査基準、団信内容なども含めて総合的に比較。

2. 事前審査の段階で仮シミュレーション

月々の返済額だけでなく、返済総額や金利上昇時のリスクもチェック。

3. 繰り上げ返済の活用

手元資金に余裕があれば、利息を削減できる。特に返済初期は効果大。

おわりに

住宅ローンと金利は、非常に密接な関係にあり、ほんのわずかな金利差が数百万円単位の差を生みます。

情報収集と計画的な借入、そして定期的な見直しが、将来の生活を大きく左右します。

この記事を参考に、ぜひ自分に合った住宅ローンを見つけて、安心のマイホームライフを手に入れてください。

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